赤を基調にした空間〔ホテルエスタシオン彦根(2)〕

北澤武宏

テーマカラーの赤いパネルがエントランスの両サイドに配され、まずはそのビビットなカラーに目を惹かれる。そのまま促される様にフロントへ。カウンターの前に立つと、この時点で他のビジネスホテルとは良い意味で違和感を覚える。

S氏の思い切った決断として一番に思うのは、フロントと売店を分けなかったこと。決して広くはないこのガラス箱の空間の中で、二つの機能を一つにまとめる事で人員配置、稼働スペース、収納スペースをコンパクトにしている。

一番に目に付くのはカウンター下にズラリと並ぶ世界各国のビール。手に入りにくいカラフルな便や缶が非常に魅力的である

普通はここで買ったものを部屋に戻って飲食するのだが、その場で楽しむ事も出来るのが斬新である。東京なんかでは現在1、2件程こういったビジネスホテルがでてきたらしいが、この地方では今のところまず無い。

ここで私がお手伝いさせて頂いたのは、この赤いテーブルとチェア。ヨーロッパのカフェやレストラン、バーではかなり昔から馴染みのあるベーシックなデザインだが、色のセレクトでどんな場所にも似合う、長く愛されたデザインの家具だ。

通称「ビストロテーブル」「ビストロチェア」と呼ばれる様に、昔から本当に様々な場所に溶け込んで「主張し過ぎない存在感」を放っている。読者の方の中にも知らず識らずのうちにどこかで座っていたりするのではないだろうか。

あくまでもS氏からのリクエストなので、コーディネートという視点では協力出来てはいないのだが、「赤を基調にした空間にしたい」という今回の要望があれば、まず最初に思い浮かぶ家具かも知れない。

フロントから振り返るとそのテーブルとチェアが2人掛けで5セット配置している。前述の「主張し過ぎない存在感」を程良く前に出す為に選んだ、「赤」という色が視界に入るとやはりテンションが上がる。

以前に納めさせて頂いたルミナベラのフロアスタンド照明のシェードの「赤」とも呼応して、テーマの統一が図れている。もちろんこのスペースで飲食するとなると、季節や所帯人数にもよるとは思うが、場所を選べるという特権はここならではという部分もあるだろう。

現在のところは宿泊客のみ利用が可能という事だが、いずれはフラッと立ち寄れるようなバルスタイルにしていく予定だ。
苦戦が続く地方のビジネスホテル業界において、新たな突破口への架け橋となるよう頑張って貰いたい。

 

関連リンク:http://www.estacion-hikone.com/

 

ライター:北澤武宏について
https://creators.view.cafe/takehiro_kitazawa/

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北澤武宏

Interior Styling ARUKAS.として活動中。
同時に名古屋市名東区に拠点を置くオーダーキッチンブランド「INTER TECH」にて「Interior Division ARUKAS.」として主にキッチン・家具・カーテンのデザイン及びプランニング、販売業務、施工管理業務を行う。
住宅の新築・リフォームをはじめ、店舗、オフィス等全ての空間作りに携わり、活動圏は愛知・岐阜・三重の東海三県を軸に、関東〜関西圏。建築家や工務店・ハウスメーカー等とも積極的にタイアップさせて頂いている。

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