軍隊なんて潰してしまえ⒉〜あの日見たグリーンベレー〜
みなさんこんにちは、元外人部隊の畦倉です。
前回の続きから…少年の時、どう強くなるかだけを毎日考えていた。
どれだけ調べても答えは見つからない。
そんな時、軍隊マニアの親父から「フランス外人部隊」の話を聞いた。
今も外国人だけが入隊することができ、世界の戦争で最前線で活躍する軍隊。
多国籍からなるその軍は、圧倒的な仲間の絆と精神力で敵を圧倒する。
他国の元軍人や悪党まで人生をやり直すために集まる者もいる。
世界中の男達が戦うためにフランスに渡り、夢や命を咲かせ、また散らしていく。
そんな世界があるんだと胸が躍った。
子供ながらにインディー・ジョーンズのような男のロマンを想像して、
心が燃えたのを覚えている。
あの時、親父から見せてもらった緑のベレー帽は今でも忘れない。
少し錆びた徽章に毛糸がほつれていて褪せた色味と匂いがさらに格好良かった。
軍隊を潰すために戦争の勉強をして、冒険もできるなんて最高じゃないか。
とりあえず外人部隊を最初の目標とするか。
畦倉少年10才の決断だった。
親父もまさか息子が入隊するとは思ってはなかっただろう。
そして一つの目標が定まり逆算してみたところ
あらためて外人部隊は通らなくてはならない壁の一つになった。
ただ人生は一度しかないしタイムリミットもある。
軍隊生活に10年だけ使おうと考えた。
そうすれば30才くらいから50才くらいまで20年以上夢のために費やせる。
本番はもちろんその20年間で何ができるかだ。
ところが自分自身が誘惑にものすごく弱かったことがわかった。
道を変えることは決してなかったが、余計な遊びを随分とやってしまう。
誘惑に弱い俺は、高校を卒業し自衛隊に入ったのは正解だった。
軍隊生活にももちろん遊びはあるが、
基本的に挑戦するしかない環境を作り出してくれた。
毎日が充実し、訓練で血や汗を流すことは喜びで目標に向かう実感が持てる。
災害派遣などに行くと満足感も得ることができ、日本もまた課題があることを知った。
しかし国防ということはあまり考えず、
はやく周りよりも強くなりたいとしか思っていなかった。
ただ下士官になって部下を育てていると愛情が出てきて「こういうのも悪くないな」と思い始めていた。
むしろどんどんこの環境が居心地よくなって幸せを感じていた自分に焦りが出始める。
すでに入隊から6年が経過していた。
そこですぐにパリ行きのチケットを購入し、除隊を決意。
仲間たちと別れを惜しみながらも第2のステップに踏み出した。
この4年間でフランスが俺に何を与えてくれるか興奮と期待を懐に詰めて成田を飛び立った。
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