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髪の魔法使い『美容室tendre~タンドル』ヘアディレクター長田美奈さん。美容師業界そのものの解決に尽力する、その原動力を聞く【前編】

 

『美容室tendre~タンドル』ヘアディレクター長田美奈さん

 

【プロフィール】

愛知県刈谷市生まれ、南知多郡出身。

名古屋市中区で、健康な髪と頭皮を育む美容室『tendre~タンドル』を経営。2006年28歳で起業し32歳で法人化。

厚生労働省「ユースエール認定」を取得するなど、幸せな美容師を増やすため働きやすさの向上にも注力。

美容室経営(美容室tendre~タンドル)のほか、美容室経営者向けのセミナー事業、美容師の家庭と仕事の両立支援に取り組んでいる。

美容業界の困りごと解決のため、「美容師」と「美容室の空いている席」をつなげる活動中。

東洋医学&西洋医学を研究し24年。現在、「シャンプープロジェクト」を始動。髪と頭皮を育むシャンプーの開発にも取り組んでいる。

カットコンテスト優勝&入賞歴多数。

女性起業チャレンジ制度準グランプリ受賞。

名古屋で健康な髪と頭皮を育む美容室『tendre~タンドル』を経営されている長田さん。穏やかな雰囲気からは想像もつかない、熱い熱いハートの持ち主でした。

今回の「ナゴヤビト」では、美容師になるまでのストーリー【前編】、独立した経緯と今後の夢について【後編】の2回にわけて、ご紹介します。

とことん突きつめるその生き様に、取材中は驚きの連続でした!

 

「働かざる者食うべからず」の教えで育った子ども時代

―どんな子ども時代を過ごされたんですか?

親が飲食店を経営しており、「働かざる者食うべからず」といわれて育ちました。昔から、自分で稼がなくちゃっていう思いが強かったです。

2歳上の姉と双子の姉の3姉妹で育って、男の子がいないから、昔から男のように育てられました。中学生のころから、大学生にまざって、親の飲食店の手伝いをやってましたね。

双子の姉は、わたしと区別がつかないくらい本当にそっくりで、姉と比べられるのが嫌だったんです。

親の飲食店を手伝っていたのも、手伝ったら必ず「ありがとう」と返ってきますから。家の手伝いをしたら喜ばれる。誰かに喜ばれたい、認められたい、というのがあったと思います。今の「人に喜ばれたい」という思いは、そもそも「親に喜ばれたい」っていう根底があったんだなと。

高校生のときは、バイトを3つかけもちしていました。バイトに明け暮れる日々だったので、家にはあまり帰らなかったですね。居酒屋で朝までオールでバイトしたり、朝に帰ってシャワーだけ浴びて学校にいくとか。

商売をしている親に育てられていたので、手伝ったらお小遣いがもらえるけど、手伝わなければ、学校で必要なものも買ってもらえるわけがない。そういう理由もあってバイトはかなりしていて、学校で必要なものは全部バイトで稼いだお金を使って、自分で買っていました。

どうしても制服は着ないといけないから着てましたけど、それ以外に必要なさそうなものは、わたしはいらないですって言って買わなかったです(笑) 大勢の中でひとりだけ違和感はありましたね。

父から、「宮城家(旧姓)はサラリーマンとかOLはないからな」と言われたのが強く記憶に残っています。

小さい頃からこう言われていたので、手に職をつけた仕事しかないなと。自分の親と同じ仕事は絶対ダメ出ししか返ってこないから、親と違う仕事で、手に職つけて一生働ける仕事はなにか・・・と考えてましたね。

 

髪の毛が触ることが好き、それが生涯の仕事につながった

―美容師になろうと決めたきっかけは?

私、髪の毛が好きで、今も髪の毛と会話しながらやってるんですよ。

昔から髪の毛を触ることが好きでした。

記憶にはないんですけど、祖母から小さい頃の話を聞いたことがありましたね。「小さい頃から、お母さんの髪の毛をさわってたし、自分の髪もやってたもんね」と聞きました。

美容師は、中学生の時になろうって思いました。やりたい職業の人にインタビューする職場レポートというのがあって、探したらそのレポートが残ってたんです。そこには「美容師」って書いてあって、自分が髪を切ってもらっていた近所の美容室に話を聞きに行っていました。

でもずっと昔から髪の毛にコンプレックスがあって。わたし、ライオンみたいなくせ毛だったんですよ(笑) 小さい頃は髪の毛を結んでいる写真しかないです。

小さい頃から髪をさわるのが好きだったこともあるんですけど、高校卒業間近の進路で「美容師なら生涯かけていける」と、美容師になろうと決めました。

希望していた美容専門学校は、1年のみの学校だったんですけど、最初の学費は親に出してもらいました。それも、膝をつき合わせて両親にお願いをしました。

両親から、「お前だけだぞ、高校以外で学費が必要だと言っているやつは。言っている意味、わかるか?」って言われました。「中途半端でやめるっていうのは、許されません」ということですよね。

「一人前にならないと、絶対にやめてはならない」と、約束をして、学費を出してもらいました。親もきっと、そういう覚悟で子どもと向き合ってたんでしょうね。

 

「食っていければいい」それで決まった就職先

―就職先は、なにか希望はあったんですか?

就職先希望の紙を出すときに、私は『食っていければいい』って書いたんです(笑) 『技術がちゃんと見に付く、基礎から見に付く、あとは食っていければいい』って。

そしたら校長先生に呼び出されましたね。

校長先生から、「これは本当か?」って聞かれて。

呼び出されたから、悪いほうかなと思って焦りましたよね。そしたらまさか、良いほうの呼び出しだったんですよ。みんな、条件に「休みが多い」とか「給与が多いところ」とか書いてたみたいですけど、こんな風に書いていたのは私だけだったみたいです(笑)

校長先生の猛烈な推薦もあり、紹介先の中で一番いい美容室を紹介してもらえることになり、迷うことなくそこに就職を決めました。

紹介先の会社は、一番条件のいい会社でした。教育体制がしっかりしていて、新人をガツガツ成長させたいところでした。そこで学ばせて頂くことができて、本当に有難かったなと思います。

 

―コンテストで賞もたくさんとられていて、とても仕事ができるイメージなのですが、働きはじめのころから器用だったんですか?

実はわたし、すっごい不器用だったんです(笑) なので、美容師になってからは人一倍練習しました。みんなが帰ってからもひとりで練習したり、家でも練習したり。

練習するためには、練習用の人形を使うんですけど、その人形のお金も払わなきゃいけない。当時だいたい1体3000円くらいしたんですけど、今は6000円くらい掛かるのかな?カットができるようになったら、ようやく人間を切るので、人形代だけですごくお金がかかって。

最初はまとめて払うので、かなりお金が出ていったんですね。カット練習用の人形に加え、あらゆるセミナーと勉強会・講習会をかけもちして行っていたので、それもかなりお金が掛かってましたね。

 

ある日社長に呼ばれて、「どうやって生きてた?」って聞かれました(笑)

毎月の収入よりも支払い金額のほうが多くて、赤字になってたので、一体どうやって生きてたのか不思議だったんでしょうね。練習の人形代は会社側が把握してるので、それプラス勉強会の受講金額なども合わせると、まあまあな赤字でした。

 

―すごい・・・一体どうやって生活してたんですか?

貯金を崩して生活してましたね。

寮だから、寮費は全部会社が払ってくれていて。あとは、高校生と専門学校のときに、バイトをたくさんかけもちしていた貯金があって、その貯金を崩してやっていました。

それでもしつこく社長から言われたときには、「あ、親から仕送りされてます」って返事してました(笑)

親からは、「自分で自立してやれよ」って言われてたので、もちろん仕送りはされてないんですけどね。しばらくそんな感じで生活してましたね。

働きはじめの最初の1年は、ほんとにお金が足りなかったです。すぐに貯金も底をついたので、ご飯をまともに食べてなかったですね。よくやっていたと思います。

髪が切れるスタイリストになってからは、全店舗でいつも成績トップのあたりにいたので、新人時代の赤字は取り返すことができましたね。

できないから、できるまでやる!それだけだったと思います。

 


「働かざるもの食うべからず」の教えをとことん実践し、つきつめる力が半端ない長田さん。美容師になるまでの人生だけでも、十分濃い・・・!

※次回【後編】では、独立のきっかけや、今後の夢と目標についてお聞きしていきます! そして新しく始動した「シャンプープロジェクト」とは???

楽しみにお待ちください!

髪の魔法使い『美容室tendre~タンドル』ヘアディレクター長田美奈さん。美容師業界そのものの解決に尽力する、その原動力を聞く【後編】 へつづく


 

『美容室tendre~タンドル』紹介

住所   〒460-0008 名古屋市中区栄1丁目16-15 伏見DOビル1F2F

電話番号 052-212-0727

営業時間 月・火・水・木・金・土 open 9:30 ~ close 18:00

定休日  毎週日曜日

予約制  TEL 052-212-0727 (Web予約もあり)

美容室『tendre~タンドル』HPはこちら

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