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強いこだわり、高い完成度のこじんまりとしたキッチン(TN邸)

今回のキッチンは割とこじんまりはしているが、やはりこだわりは強く、完成度は高く出来ている。
配置としては全面ではなく3分の2くらいが露出したセミオープンのキッチンに、カギ型に欠き込まれたテーブルが食い込んだようなデザインになっている。機能のゾーン分けは特殊な部分はなく、シンプルでノーマルなキッチンである。向かって右から2段式のスパイスラックがIHヒーターの右下に来るように配置され、そのIHはドイツのAEGのもので、やはりこちらも天板操作であり、真下が引出になっている。

火元の上にはレンジフードがくるのだが、当初は小さめのものをステンレスの箱で囲い、隠してしまう計画であった。レンジフードがスタイリッシュ感に欠ける場合によく使う手法で、ステンレスに限らず、横に吊り戸棚等がある場合は、それと同じ素材や色の面材でボックスを作り、その中に納めるのである。

今回はそのレンジフードを取り付ける袖壁の幅が元々700mmと狭い為、ここに当てはめる機種が非常に少なく選べない事と、ステンレスの箱を特注しているのを考えるとレンジフード自体を特注で作ってしまうのもそう大きくは金額面で変わらないと判断した為に、国産メーカーで既存のレンジフードを変形・仕様変更したオーダー品にした。形も操作もメンテナンスもシンプルで、デザインもスッキリさせた。

次に食洗機だが、お馴染みドイツのミーレの45cmタイプを導入。今回はキッチン全体が割と標準的な幅サイズなので、あまりスペースを取り過ぎないように幅の狭い方を選択した。とはいえ、45cmタイプでも最大15人分くらいの食器が一度に洗えるので、機能は十分ではないだろうか。

水栓金具には浄水器付の物を導入、以前は浄水器というと高額で、カートリッジの交換や手入れが面倒だったり、カウンターの上に専用水栓(蛇口)が出てくる事で、スッキリ感が損なわれると考える方も少なくない。そういった問題を解決した商品の一つが今回の「F914ZC」である。ドイツの洗練された水栓ブランド「グローエ」社と、「三菱レイヨン」のクリンスイを合体させたもの。水栓金具は一本でハンドルの切り替えのみで水道水と浄水を使い分けられ、カートリッジの交換も手軽で頻度も少ないという優れものである。このような利点から人気商品になっている。

大きく採ったシンプルなシンクの下はオープンにし、こちらの場合は要望が有りステンレスのハンギングバーを取り付けている。濡れた布巾や洗剤スプレーを引っ掛けるのに使うようだ。空いた部分はゴミ箱スペースとなる。

キッチンに引っ掛かるように造り付けたテーブルは、オーク材突板を塗装・加工して素材感を出した「ヴィンテージオーク」材を使用。脚部はスチールのフラットバーを四方溶接組立して、黒皮塗装の上にクリアウレタンを施し、鉄の質感を残した荒々しさが天板とよくマッチしている。脚部はクライアントの支給品。寸法と仕上げのみ指示させて頂き、こちらで組み込む事にした。キッチンに引っ掛けている部分の仕舞は写真の様になっている。形としては片脚だけで構成された見た目が軽やかなテーブルとして、視覚的な効果を発揮している。

またそれに絡むように三枚の扉が配置されているが、これは写真で見るとどの様に伝わっているだろうか。
キッチン全体のテーマとしては、インダストリアル(工業的)な雰囲気を創り出す事なのだが、その仕上げとしてこの扉がポイントになる。「使い古した鉄の様な質感」を求められたので、「Verometal」(ヴェロメタル)という金属塗料を使ってその質感を表現している。本物の鉄を使うと非常に重量が出たりするなど多少のリスクがある。かなりコストがかかる仕様なので、広範囲を塗ると実際の金属を使用するより高くなったりもしてしまうので頻繁には使えないのだが、ここに関しては重要な要素になったので、クライアントに勧めてみた。サンプルを見て即OKであったので、迷いなくこの色・質感で決まった。

クライアントも普段から非常に美的感覚を求められる職業柄、キッチンだけでなく建築や外構まで、非常にこだわりを持っていたので、キッチンのプランニングに関してもかなり協力をして頂いた。施主と作り上げたインダストリアルなキッチンは、また一味違ったスタイルに仕上がった。

 

ライター:北澤武宏について

https://creators.view.cafe/takehiro_kitazawa/

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