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バッグの不快なヌメリやベタつき「加水分解」はなぜ起こる?メカニズムから除去・予防法まで解説

ポリエステルなど樹脂素材でできたバッグを長期間使っていたり、保管していたりすると、表面にヌメリやベタつきが出てしまうことがあります。これは「加水分解」という化学反応起きて劣化することが原因です。
この加水分解とはどのようなものなのでしょうか?そのメカニズムを見てみましょう。また、加水分解によるヌメリやベタつきの除去方法や予防方法も解説します。

●加水分解のメカニズム

加水分解とは読んで字のごとく水分が加わることである物質が分解されるという化学反応です。
中学校の理科の授業のような話になりますが、バッグに使われているポリエステルには、エステルという成分が使われていますが、これが水と結合するとカルボン酸とアルコールに分解されます。

樹脂素材は皮革などに比べて水に強いと思われています。確かに防水加工などが施されていれば中に水が染み込みませんが、目に見えないところで劣化が起こるのです。

仮に「水に濡れていない」「買ってからあまり使っていない」という場合でも加水分解は起こります。こちらも理科の授業で習う話ですが、窒素や酸素、二酸化炭素などさまざまな物質が空気を構成しています。「湿度●%」と言われるように、水も空気を構成する要素の1つですが、空気中の水分がバッグの素材と結合することで化学反応を起こし、加水分解が進行します。

いくら高級なバッグでも、加水分解が全く起こらないとは言い切れません。使っている以上は多かれ少なかれ加水分解という化学反応は起こるのです。

加水分解が起こると、生成された成分によってヌメリやベタつきが発生するようになり、更に進行すると変色やひび割れが発生します。

加水分解はバッグに限らず、パソコンのマウスや車のハンドル・シフトノブ、スマホケースなど、樹脂でできているものであれば発生しうる現象で、ポリエステルやポリウレタンといった樹脂の他にもゴムも加水分解しやすい物質です。

●加水分解で発生したヌメリやベタつきを除去する方法

それではポリウレタンなどの樹脂素材で加水分解が起こってしまったらどうすれば良いのかを見ていきましょう。

方法はとても簡単。エタノールを含んだウェッドティッシュで軽く拭き取るだけです。軽度のヌメリやベタつきであればこれで十分落ちます。

それでも落ちないレベルの強いヌメリやベタつきがあれば、「無水エタノール」を使いましょう。無水エタノールは消毒液としてドラッグストアに売られています。
無水エタノールを少量布に染み込ませて表面を拭き取れば頑固なヌメリやベタつきも除去できます。

また、加水分解で発生したヌメリやベタつきはアルカリ性の物質を使えば落ちるという性質があるので、水に重曹を混ぜ合わせて拭き取ることでも除去することが可能です。

ただし、加水分解の進行状況によってはヌメリやベタつきが完全に落ちなかったり、拭き取ることで変色したりする可能性もあるので、まずはバッグの目立たない部分で試してみることをおすすめします。

●加水分解を防ぐ方法

先程も説明したように、空気中に水分が含まれている限り、使用頻度が低くても、水に直接濡らしていなくても、加水分解による劣化は発生します。加水分解を完全に防ぐことは不可能といえます。
しかし、バッグの使用方法や保管方法によって加水分解の進行を遅らせることは可能です。

まずは水に濡らさないということが大切です。万が一濡れてしまったらすぐに拭き取ってください。

使用後はしっかりと汚れを落とすことも大切です。バッグの表面の目に見えない汚れやホコリが空気中の水分と結合し、加水分解を進行させる原因となります。

長期間保管する場合はなるべく湿気が少なく、通気性が良い場所で保管しましょう。クローゼットの中にバッグを保管する方も多いかと思いますが、これはおすすめできません。クローゼットを閉め切ってしまうと湿気がこもってしまうからです。

どうしてもクローゼットの中で保管する場合は乾燥剤を入れてあげると良いかと思います。

また、湿気からバッグを守りたいからとビニール袋をかぶせるのも良くありません。通気性が悪いので湿気を寄せ付けない一方で、袋の中にすでにある湿気がバッグに付着しやすくなるので、逆効果と言えます。

通常加水分解による劣化が目立ち始めるのは早くて3年くらいからですが、正しい方法でケア・保管を行えば5年くらいからというように、劣化を遅らせることができます。

「水に強いから大丈夫だろう」「本皮と違ってメンテナンスは要らない」と過信するのは禁物。日頃しっかりとケアしてあげることで、嫌なヌメリやベタつきを抑えることが可能で、大切なバッグの寿命を伸ばすことができるのです。

ぜひ、今回の記事を参考にしていただき、大切なバッグを加水分解から守りましょう。

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