老舗シャンソンライブハウス「Café Concert ELM」の変遷とこれからの展望 [前編]
Café Concert ELM(カフェ・コンセール・エルム)は吹上にある老舗のシャンソンライブハウスです。チーフマネージャーの加藤祐磁さんにお話を伺いました。
初期の頃の話は、すべて父であるエルム代表の加藤修滋からの伝聞ですが…
Café Concert ELMが出来た経緯は、名古屋に演奏できるホールが十分に足りていなかったからです。
父は学生時代にタンゴ・バンドを組んで音楽活動をしていました。
大学を卒業して名古屋市の職員になり、平日に会場の予約をしたり練習の場を確保したりすることが難しく、音楽活動を続ける為に退職し1980年にmss小劇場を建てました。
当時としては珍しく、今でいうクラウドファンディング方式で資金調達したんですよ。
今だったらWebで募集をしますが、当時は新聞に「こういう思いで劇場を作りたいので出資して欲しい」と投稿して出資者を募りました。
開業当時は2階が会場で、1階は駐車場でした。
このビルの名前「mss会館」という名前は、m(ミュージック)s(サロン on)s(サタデー)の略なんですよ。
その後、美輪明宏、菅原洋一、グラシェラ・スサーナ、永六輔などが出演や、タンゴ界のレジェンドであるアストラ・ピアソラが来場するなど、様々なジャンルの音楽が聴ける場所となりましたが、文化不毛の地と言われる名古屋で音楽文化の裾野を広げる為には、「毎日、気軽に音楽が聴ける事が必要」という思いで、駐車場にしていた1階をライブ会場に改装することになりました。
そうしたら、なんと美輪さんに
「毎日営業したら、好きだった音楽が仕事になって音楽を楽しめなくなる」
と大反対されたんですが、父の熱意は変わらず1988年にライブハウス「Café Concert ELM(カフェ・コンセール・エルム)」OPENとなりました。
豪華な出演者達で、当時東京で人気だった「銀巴里」のようだと言われたほどでした。
美輪さんは、エルムがオープンから今度は全力で応援してくださったんです。本当にありがたいことですね。
エルムがフランス国営テレビに「理想のシャンソン空間」と紹介されるまでに至ったのは、フランスの歌手であり女優でもあるジャクリーヌ・ダノとの出会いが大きかったです。彼女がフランスと日本の文化交流の窓口となり、フランス人アーティストの来日公演やエルム出演歌手によるフランス公演が頻繁に行われました。
ジャクリーヌ・ダノは政界にも強い男気のある女性でした(2021年逝去)。
カナダやアフリカにも影響のあるフランス語圏協会(Alliance Francophone)の役員でもあったので、愛知万博誘致の際にはフランス語圏の票の取りまとめに一役買ってくれました。
他にも、当時の松原名古屋市長がパリ市長を訪問したときには「彼を知っているか?」と父と映った写真を見せてきたというエピソードもあります。
フランス人アーティストが出演するだけではなく、手紙やメール、プレゼント等のやりとり等の交流が行われるのは、フランス国内でもアメリカナイズされた音楽が溢れているのに東洋の小さなライブハウスでは、古き良き時代のシャンソンから新しいシャンソンまで聴く事ができるからであり、フランス国営テレビが「理想のシャンソン空間」と紹介した理由のひとつだと思います。
現在メインの会場である1階会場の話だけでも盛り上がりました。
リニューアルした2階会場のお話や、今後の展望については後半でお楽しみください。
Café Concert ELM(カフェ・コンセール・エルム)
〒464-0856 愛知県名古屋市千種区吹上2-4-5
TEL / 052-733-0085 FAX / 052-733-9498
※ライブスケジュール等、詳細は公式サイトをご確認ください
The post 老舗シャンソンライブハウス「Café Concert ELM」の変遷とこれからの展望 [前編] first appeared on ナゴヤビト.
この記事へのコメント