「小倉トースト100変化」 ~ 株式会社永楽堂 高野仁美様 特別インタビュー/前編【小倉トースト部】
「小倉トースト部」とは、小倉トースト好きが集まり、小倉トーストに関する情報収集や食べ歩きなどを通じて、名古屋の喫茶店文化を彩る小倉トーストの美味しさ・素晴らしさをもっと広めようという部活動です。
部員たちが日々行っている「部活動」の成果を「ナゴヤビト」上にて発信していきます。
2020年11月26日、小倉トースト好きには見逃せないプロジェクトがスタートしました。
その名も「小倉トースト100変化」。ナゴヤエリアの業務用パンメーカー3社が共同して、新しい小倉トーストのレシピを100本作ってしまおうというビックプロジェクトです。
小倉トースト部としては絶対に見逃すことができないプロジェクトということで、その発起人である株式会社永楽堂 高野仁美様にお話をお伺いしてきました。
そのインタビューの模様を「小倉トースト部」特別編としてお届けいたします。
前編では、高野様が働かれている株式会社永楽堂についてご紹介します。
ルーツは和菓子店! ナゴヤの喫茶店文化を支え続ける株式会社永楽堂
-- ナゴヤビト「小倉トースト部」担当のSwindです。本日はよろしくお願いいたします。
株式会社永楽堂にて広報と通販を担当しています高野仁美です。よろしくお願いいたします。
高野仁美様プロフィール
株式会社永楽堂 広報責任者・BtoC部門責任者、パンコーディネーター・エキスパート。
大学卒業後すぐに永楽堂へ入社。直営ベーカリーショップのスタッフ、喫茶店部門の営業担当を経て、商品開発責任者として新商品の企画・開発に従事する。その後、BtoC事業としてWeb通販サイトを立ち上げるのに合わせ、広報・BtoC部門の責任者を任せられる。
趣味はカフェ巡りで、日々パン情報をリサーチしている。
-- 永楽堂様は「業務用パンメーカー」とのことですが、一般のパンメーカーとどこが違うのでしょうか?
もともと永楽堂は喫茶店向けにモーニングなどで使われる食パンの製造・販売をするところからスタートしました。創業の頃は喫茶店も元気で、ひたすら食パンを作れば売れるという状況だったそうです。
その後時代が変わっていく中で、食パン以外のパンの製造を手がけたり、喫茶店以外のホテルや結婚式場などにも販路を広げたりしながら現在に至ります。
コロナの影響もあり今年から一般向けの販売も開始していますが、あくまでもメインは業務用になりますので「お店で調理加工して完成するパン」という点を大切にしています。
-- 「お店で調理加工して完成するパン」、すごく興味深いですね。そのまま食べるパンとはどういう違いがあるのでしょうか?
最近ブームになっている高級食パンなどはすごく良い材料を使ったり、美味しいバターをたっぷりと使ったりすることが多いですが、当社で作っているパンは小麦の熟成をしっかり行うなど使っている材料の良さを最大限に引き出すことを意識していますね。
私たちは「小麦味が濃い」と言ったりしますが、素材の味をしっかりと生かしながら黒子として喫茶店のオーナーさんたちの料理を引き立てる、表現したいことを助けるパンをいう点を大事にしています。
-- 確かに喫茶店ではトーストやサンドイッチにして頂く事が多いですね。ナゴヤの喫茶店文化を支える名バイプレイヤー、それが永楽堂さんのパンなのだなとすごく伝わってきました。
ところで、事前にホームページを拝見したのですが、元々は和菓子屋さんがルーツということで大変驚いたんですが……。
そうなんですよ。戦後の占領期、アメリカの政策で日本に小麦を食べさせようという動きがあったのですが、肝心のパンを焼く機械設備が日本にはあまり無かったんですね。
どこかに設備がないかと探してみたら、当時の和菓子屋が和菓子を作るためのミキサーやオーブンを持っていたことが分かり、それならばそれを使ってパンを焼きなさいと指令が出たそうです。
当社の創業者である先代社長も和菓子職人になるために池下にあった「永楽堂(現在は閉店)」に弟子入りしたのですが、その指令を受けてパン部門を任されるようになりました。その後パン部門が「永楽堂」の名前とお客様を引き継いで独立し、現・永楽堂が誕生しました。
-- 池下の永楽堂さん、覚えています! 以前にお伺いしたことがありました。それから事業を続けていく中では時代の流れに合わせて様々な変化があったと思いますが、特に大きな変化というと何になりますでしょうか?
10年ほど前になりますが「冷凍パン」をスタートしたのが当社にとっての大きな変化になると思います。
これは、販路拡大のために結婚式場など全国のお客様にお届けできるパンを作るという目的があったのですが、同時にパンの配達面での悩みを解決したいというの思いもあったのです。
--配達の悩み、ですか。
喫茶店は朝早くから空いていますので、パンを届けるのも早朝からになります。そうなると前日に焼いたパンを翌日の朝にお店へ配達するという形にならざるを得ない。お店でストックされている時間も考えると、お客様の口に入る時にはパンとして一番おいしいピークを過ぎてしまっているんですよね。
でも、それはもったいない、食べて頂く直前までおいしさを保つことが出来る方法はないかなと模索している中で注目したのが冷凍パンでした。
その頃はちょうど冷凍技術がどんどん進化している時期。これならおいしいパンをおいしい状態のままお届けできるということで、思い切って設備を導入し冷凍パンに力を入れていこうということになりました。
-- おいしさを大切にするからこそ大きな決断ですね。しかし、これは相当大変だったのではないかなと思うのですが……。
正直、最初は本当に大変でした。「冷凍パンは焼きたてよりおいしくない」というイメージが強すぎて、喫茶店からの抵抗が本当に大きかったです。
それでも最近は若い喫茶店オーナーの方から「なんだかんだで冷凍パンの方がおいしいよね」と評価頂けるようになり、冷凍パンを選んでいただけるお店もだいぶ増えてきました。
-- 実は私も業務用スーパーで冷凍のフランスパンとかを時々買ったりしていますが、本当においしいんですよね。今の冷凍技術の進化に驚かされます。
もう一つ大きな動きとしては、BtoCを始めたことですね。コロナ禍の影響もあって会社としてネット通販にも取り組むこととなりました。
その仕事を私が担当することとなったのですが、ネット通販は広報の動きにも大きく関わってきますので広報責任者も担当するようになりました。また、もともと商品開発・企画の仕事として喫茶店向けのレシピ提案を考えたりしていたこともあり、パンを使ったレシピ開発の仕事も一緒に任されています。
今年に入ってからはじめて通販や広報の仕事を任されるようになった高野さん。この配置転換がその後「小倉トースト100変化」プロジェクトの誕生につながっています。
中編では「小倉トースト100変化」の誕生のきっかけから、業界内を騒然とさせた「3社連合」での取り組みについてご紹介します。
(中編に続く)
「小倉トースト100変化」プロジェクトは、現在クラウドファンディングにて支援を募集中。小倉トースト好きの方、必見です!
https://camp-fire.jp/projects/view/341933
「小倉トースト部」はfacebookグループにて部員を大募集中!
小倉トースト好きの方、ぜひご参加ください!
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