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化学から知る香りの調和

昨日は長島司先生の講座に出席。

植物が作り出すフィトケミカル物質の話や、どっぷり化学の話はとても興味深く
また懐かしくもあり楽しい1日でした。

アロマテラピーを伝えるにあたり、どうしても外せないのが化学の世界。

香料はほぼ合成で生成されますが、アロマで用いる精油はほぼ自然素材。

この違いはもちろん、実は合成のほうが安全で自然の精油のほうが危険だったりすることはこうした化学を知るとわかってきたりもします。

とはいえ・・・

植物が自然に創り出す香りの成分は、奥深くまた摩訶不思議でもあります。

昨日のお話の中にあった、植物が作りだす精油成分は植物同士の会話としても利用されているというお話を聞くと。

私たちアロマセラピストが人に香りを使う意味や、言葉がいらない意味などの後付けにもなりました。

香りは植物から植物へ・・・
人から人へ・・・

言葉にならない何かを伝えていることはわかってきたようですね。

そんな勉強の後の本日はNARDジャパン認定アロマアドバイザーレッスンの6。

「精油の調香」でした。

このレッスンでは香りのアコードをとっていただくために、1滴ずつ精油を混ぜていき最高のアコードのブレンドを嗅覚で確かめていただくレッスンです。

ビーカーに1滴ずつ・・・・
精油を増やしていく中で、調和のとれた滴数を知ってもらうと同時に。
1滴の違いで香りが一気に変わることも体感していただくことになります。

そしてオリジナルのオードトワレを作成。

ローズ、ジャスミン、サンダルウッド、パチュリー、ネロリをベースに様々な精油を20滴も使用しての贅沢なレッスンとなっています。

ではこうしたアコードをとるためになぜ化学が必要なのでしょうか?

香りの揮発度

香りには必ず揮発度(蒸散速度)がそれぞれ違います。

それは分子量の違いや芳香成分の含有量の違いから出てきます。

市販の香水は単一の香り成分を混ぜ合わせて作られているので、定期的な香りができるのですが。
アロマで使う精油には1種類の精油にでも50~100種近い芳香成分が入っているので、香りはその時々によって変わってきます。

そして、この香りの蒸散速度はおおよそ化学を知ることで目星がつくのです。

また、この揮発度をなんとなく知ることで香りの調和がとることができるので、ブレンドもとてもうまくいくということになります。

 

単一の香りを知ると見えてくる香りの世界

例えば桜餅の香り。

これは「クマリン」という成分の香りになります。

クマリンは桜の葉に含まれますが、これに似た成分を持つ芳香成分は奥のほうに桜餅のような香りがします。
わかりやすいのはラベンダーのハーブウォーター。

精製されていないハーブウォーターはクマリンの香りがします。

また、香りはブレンドされるととてもいい香りに仕上がるものも・・・

例えばジャスミンに含まれるインドールという窒素化合物。
精油には珍しく窒素「N」を含む香りになりますが。

このインドールは単体だととても臭く排泄物に近い臭いです・・・。
(事実、人の排泄物にはこのインドール臭が含まれます・・・)

これが薄まって、エステル類やジテルペンアルコール類などと混ざると、とても深いいい香りのジャスミンに仕上がるのです。

このように香りの単一成分を知っていると、何となく出来上がりの香りも想像できるのですが。

実は天然の精油の世界ではもっと深く面白いことが起こってきます。

 

1滴プラス1滴

例えばラベンダーの精油とオレンジの精油をそれぞれ準備します。

ラベンダーを1滴ずつ増やしていき、オレンジの精油を9滴から1滴ずつ減らしていきブレンドします。

そうするとある地点から一気に香りの印象が変わることがあります。

この地点は人それぞれですが、大方4:6のところでいい香りに仕上がっていると感じます。

ところがその前後。
3:7や5:5ではさほどいい香りに感じないとみなさんおっしゃいます。

これが精油1滴の力なんです。

つまりブレンドをするときも、いい香りに仕上げたければ。

ベースにする香りをある程度決めておいて、添える香りを1滴ずつ増やしていくなどして香りのハーモニーをとっていくことが大切になり、また調香する楽しさでもあります。

この時には奥に深く感じる香りの単一成分を頭で想像しながら1滴ずつ増やすときに、化学を知っていると1滴追加したときの香りの変り方がなんとなく想像できてくるのです・・・。

 

香りのハーモニーは心の調和

そして単一でない複数の芳香分子を持つ精油のハーモニーを最高のものにするためには。

実は香る側の心の状態も大きく関与してきます。

特にアロマはダイレクトに大脳辺縁系にある扁桃体に刺激が行きます。

扁桃体の状態が不安ばかりだとその先の信号が正常に働かなくなり嗅覚はかなり鈍ったり、嗅覚の反応は落ちていきます。

実際に心身の不調があるときはブレンドはうまくいきません。

つまり、最高のハーモニーを作り出すためには心もその器が必要になってきます。

不思議なのですが、調香のレッスンの時。
お二人の生徒さんと一緒にやると。

お一人はオレンジ多めの4:6が、もうお一人はラベンダー多めの4:6がいいとおっしゃいます。

これはお互いがすきな香りが多いほうがいいと思われたのですが、こうしたことから見ると一般人が行う調香にはその人の心の背景も出やすく、また香りの好みもその時々で変わるのでその時のご自身の心身の状態も何となくわかってきます。
(ちなみに、お仕事としてやっている調香師はこのようなこともないくらい一定した嗅覚と聞きます。)

香りのハーモニーは心の調和。

お手元に精油をお持ちの方は、是非とも2種類以上の精油をブレンドしてみてくださいね。

 

 

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