吉田兼好「徒然草」より『今この瞬間』を思う
先日、故郷の海を見ながら、中学生の頃に教科書で習った、吉田兼好の「徒然草」の一節を思い出していた。
わずかな時間を惜しむ人はいない。それは、わずかすぎて惜しむに値しないからなのか、ただ愚かなのか。わずか一銭の金は軽いが、一銭の金も集めれば貧者も富者になる。時間も同じことである。一瞬の時間といえども無為に過ごしていれば、死はたちまちやってくる。道を求むる者は、遠い時間を思うのではなく、今の一瞬が空しくすぎて行くことこそ惜しめ。
私たちは飲み食いし、便所に行き、おしゃべりし、歩いて、一日の多くの時間を費やしている。残りの時間はわずかであるのに、無益なことをしたり考えたりして貴重な時間を浪費している。かくして一日を無駄にし、一ヶ月を無駄にし、結局、一生を無駄に過ごしてしまう。それは、まことに愚かなことである。
以前、一年後に達成する大きな目標を掲げた社員が2人いた。
一人は「もう一年しかない!」と焦り、浮き足立つタイプ。
もう一人は「まだ一年もある」とのんびり構えるタイプ。
前者は、心にゆとりがなく、ついつい実践的ではあるが、小手先のテクニックばかりに目が行き、なかなか実力が養われず、結果として諦め感が出てきてしまう。
後者は、2・3日遊んでも長い一年間のほんの一部であると楽観していて、なかなか本気になってきません。結果として、半年が過ぎた頃から焦り出します。
「もう一年しかない」も「まだ一年もある」も、よくありません。
大切なのは『今この瞬間』に悔いを残さないことです。
今日一日、毎日が昨日の続きではなく、新しい一日である。
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