花の持つ効果を伝えたい。フラワーアレジメントをリハビリツールとして活用し、人と人を繋げる『halsabloom (ヘルサブルーム)』代表 石崎理恵さん
『halsabloom (ヘルサブルーム)』代表 石崎理恵さん
プロフィール
大阪府出身。名古屋市在住。
花を通じて心身の健康をサポートする訪問フラワースクール『halsabloom (ヘルサブルーム)』代表。花を利用した心と体の健康支援事業として、「笑顔を運ぶフラワーレッスン事業」「SFAプログラム普及・販促事業」「講師派遣事業」など行っている。
花との出会いは、会社の華道部がはじまりでした
花に関わるきっかけは、20歳で会社勤めを始めて社内の華道部に入ったことでした。実は女子は強制入部だったんですけど、入ってみたら楽しくて、もっとやりたくなりました。OL以外の仕事につくためにフラワー講師を目指したのが始まりでしたね (笑) 仕事をしながら、勉強のために2~3年の間はフラワースクールを2つ3つ掛け持ちしていました。
25歳のときに、会社勤めと掛け持ちで、簡単なフラワースクールを始めました。会社が終わったらそのままスクール講師になる、なかなか大変な生活でしたが、やりがいもあり楽しかったですね。
5年くらいそんな生活を続けて、結婚して名古屋にきました。
大阪のホテルで講師をしていたご縁で、名古屋のホテルをご紹介頂き、名古屋でも6年ほどさせて頂きました。今思うと、子育てしながらでよく頑張っていたなと思います。自分ができる範囲内でしたが、したい仕事だったのでやめたいと思ったことはなかったですね。
花がもたらす効果を体感し、ある研究結果に出会ったことが今の活動に繋がっていきました
私の活動のひとつに、美容学校の講師があります。
はじめは、美容学生向けにカリキュラムを考えるのに、花の楽しさを教えながら、学生にとってメリットのある内容にしないといけない・・・とかなり試行錯誤しました。
教えているうちに、子どもの表情がとても豊かになるのに気づいたんです。講義に出席した子のほとんどが、「すごく楽しかったです」って言って帰っていくんですね。花ってパワーがあるなっていうのを、子どもたちに講義する中で見て感じていましたね。
そんな時、農研機構と茨城県立医療大学が「フラワーアレンジメントが高次脳機能障害者の記憶力向上に効果」という研究を発表したのを知りました。フラワーアレンジメントは、贈答や飾るだけでなく、高次脳機能障害の改善・ストレス軽減・緊張緩和といった効果があること。認知リハビリテーションを目的とした新しい手法として、フラワーアレンジメントを利用したプログラムを開発し、それを利用することで、生花の新規需要を創出し、国内の花き産業の活性化に寄与することが期待される、というものでした。
花には「見て得る力」があって、花を見て気分が良くなったとか、笑顔が綺麗になったとか、そういうエビデンスが実際にあるんです。なぜ美容学校の子どもたちが笑顔になったか。まさしく私は、花のもたらす効果を体験していたわけですね。花にこんな素晴らしい効果があることを知って、活用してもらいたいなという思いが、今の活動に繋がっていきました。
フラワーアレジメントの脳トレは、五感を刺激し、意欲を引き出す効果があります
今は、高齢者施設へ伺い、レッスンも行っています。
月に1回、入所されている方たちにお花を届けながら、リハビリキットを用いた脳トレレッスンをしています。認知症の方の多い施設だと、取り入れてみようかなと言われますね。
元気な方は、自分でお店に行って、一輪の花を自分のために買うこともできます。でも、施設に入所している認知症の方、脳梗塞で手足が麻痺してしまっている方は、自分でお花を買いに行ける機会はないです。
花が寄り添ってくれることでもたらす効果は大きいですし、楽しみながらリハビリをし、見て、香りをかいで、眺めるだけでも気分が上がる。それってとても健康によいですよね。
リハビリができるキットが開発されていて、決まったプログラムを行っていくと、フラワーアレジメントが完成するんです。これを活用してもらうことで、リハビリ効果があると言われています。
花とハサミを持つから両手を使いますし、ハサミを持つことで握力も上がります。花を押さえて切る場所も頭で考えますよね。花を挿す位置は全部印がついているんですけど、その印を探すために見る作業も加わります。花を活用しリハビリすることで、五感をフルに刺激するんですね。
実際、フラワーアレジメントの脳トレをする中で、参加者の方から、「お花に触るのなんて本当にひさしぶり」「こんなきれいなお花を触ることができて、本当にうれしい」「昔お花をやってたから、思い出すね」と言った声も聞かれました。レッスンを通して、表情がとても穏やかな笑顔になり、会話もはずんでいるのを見て、私自身もとても嬉しくなりますね。
レッスン後に、ご自分でまた練習したいから、説明のリーフレットを欲しいと仰る方もいらっしゃいます。リハビリとしてのプログラムなのですが、楽しいことだから続けたい、そういった意欲を引き出す効果もあるのかなと思います。
高齢者施設ではこのプログラムを取り入れてくださるところが出てきましたが、愛知県でこれを取り扱っている病院はないんです。この花のキットを用いたプログラムは本来リハビリ用に作られているので、医療現場のリハビリの場で使っていただきたいんですけど、まだそこまでいっていないのが現状です。花がもたらす効果はエビデンスがあることなので、それを多くの医療者の方にも知ってもらいたいですね。
認知症や高次脳機能障害の方が、手を使ってパズルをする、箸で豆を掴むリハビリをするのと同じように、花を使いもっと楽しみながらリハビリが出来ればいいなと思います。
花のおかげで人と繋がる・・・私自身も、花に救われてきました
私自身の経験からいうと、20年前だから診断はされなかったですけど、絶対「産後うつ」だったと思います。自分のことをおかしいって思ってましたけど、当時は相談もできなかったんですよね。
でもそのつらい期間も、子育てしながらも花の仕事をすることで、気持ちが楽になり救われる部分はありました。いつしか花を通して人に関わることが、私にとって精神安定剤みたいなものになってましたね。
花の効果を自分の身をもって体験していたから、教えていた美容学生さんが笑顔になったことや、花の効果が研究で明らかになったのを聞いても、抵抗感なくスッと入っていったんじゃないのかなと思います。
花に救われましたし、今まで花のおかげでいろんなご縁が生まれています。花というツールには、年代や年齢・性別も全部超えて、繋いでくれる力があると思っています。
フラワーアレジメントを、リハビリとして医療の現場で活用してもらえるようにしたい
今後は、この脳トレのフラワーアレジメントを、施設や病院などでリハビリとして使っていただけるようにしたいですね。お花がないところにお花を届けるというのも醍醐味ですし、このフラワーアレジメントの脳トレキットがもっと広まって、花を通して楽しくリハビリをして頂ける人が増えてほしいなと思います。
そして、この脳トレレッスンをできる講師を育てたいと思っています。今は、スタッフが2名いて、月3回ずつくらいアシスタントに入ってもらっています。今いろんな働き方がある中で、私自身が子育てをしながらできることを続けてきた経緯もあるので、この活動を通して子育て世代の方が時間の有効利用をしながら働ける仕組みを提供していきたいですね。
『halsabloom (ヘルサブルーム)』HPはこちら
http://h-flower.com
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