[モノポリー的]行動経済学「現状バイアス」
行動経済学に関する本を読んでいると、かならず「◯◯バイアス」という言葉が出てきます。
バイアスとは、偏りや偏見という意味で、その偏見によって合理的選択ができず、経済学的には誤った選択(非合理的選択)をしてしまうという、さまざまなパターンを「◯◯バイアス」と言います。
今日はその中から「現状バイアス」という偏見について、モノポリー的に考えてみました。
現状バイアス(授かり効果)
ある心理学者の実験で、無作為に選ばれた人々を半分づつの2つのグループに分け、一方にマグカップを無償で与え、もう半分のグループにはマグカップを与えないという状況を作る。その上で彼らに、マグカップの取引市場を開かせ、マグカップを与えられたグループには「いくらもらったらマグカップを売るか?」を問い、与えられなかったグループには「いくらだったらマグカップを買うか?」を問う。
結果は、希望売価は5.3ドルだったのに対し、希望買値は一般的な市場価格に近い2.5ドルに過ぎず取引は成立しなかった。もし、彼らが経済学的に合理的な考え方をしていれば、お互いに近い価格となり、取引は成立するはずである。
無償でもらったにも関わらず、その市場価格分のお金を手に入れることよりも、マグカップを失う痛みの方が大きかったワケです。
モノポリーのゲーム中も、たびたび似たようなことが起ります。
窮地に追い込まれたプレーヤーから、タダ同然で譲り受けた権利書を転売するケースです。
もちろんゲームの流れで、物件(権利書)の価値は常に変動しているので一概には言えませんが、ついさっきタダ同然で手に入れたはずの権利書の取引をめぐって、なかなかお互いの主張が折り合わず、交渉が不成立に終わることがあります。
モノポリーでは、基本的に交渉する2人が取引によって利益を享受し、他のプレーヤーがリスクを享受することになります。このケースでは、利益を享受するはずだった2人が「現状バイアス」による損失回避行動によって、結果的に損をしてしまいます。
こういう見方をすると、モノポリーはもっと楽しいかもしれませんね。
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