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市丸中将の「ルーズベルトに与うる書」

 

現在、硫黄島では、毎年、日本とアメリカの硫黄島協会が主催し、慰霊祭をしています。

これは国の主催ではなく、民間の主催なのです。

そして世界的にも、かつて戦った者同士が、追悼事業を続けているのは、この1か所だけです。

硫黄島とは、そういう特別な島なのです。

ここで戦死した市丸中将の遺した書を紹介します。

 

この書はなぜか日本よりも、全米の国民に影響を与えています。

あらゆる兵力においてはるかに勝る米軍との激戦において、市丸中将は、最後の総員突撃を敢行するに際して、「ルーズベルトに与うる書」を遺されています。

 

この「書」は、市丸中将の死後、「死に臨んだ日本の一提督の米国大統領宛の手紙」と題されて、米国の各大手新聞で、その全文が紹介されました。

 

また、戦後ベストセラーになったジョン・トーランドの「昇る太陽-日本帝国滅亡史」でも紹介されました。

 

その内容は、ひとことで要約すれば、強国が弱国を蹂躙し、支配し、奪うのが当たり前とする19世紀的覇権主義を否定し、世界の人種それぞれがそれぞれ

の地域で自主独立し、もって恒久的世界平和を実現するという、まさに現代の世界の人々にとって立派に通用する内容のものとなっています。

 

当時、米軍は、戦いの後、日本兵の遺体から所持品を確かめていました。

市丸中将は、それを知って、この「書」をしたためられています。

市丸中将が、最後の突撃攻撃を行って散華されたのは、3月26日です。

その9日前の3月17日、中将は、地下20メートルの洞穴に、動けるものを全員集めました。

そして副官である間瀬式次中佐が、一歩前に出て、「ルーズベルトニ与フル書」を読み上げた。

朗読が済むと、この書の和文のほうを通信将校の村上大尉が腹に巻きつけました。

英文のものは赤田邦夫中佐(二七航戦参謀)が身に付けました。

そして市丸中将は、栗林中将とともに、軍服にある一切の肩章を外し、ひとりの皇国臣民として、最後の突撃を行い、散華されています。

この最後の突撃のときの遺体の数は、わずか196柱でした。

陸海合わせて2万933名いた守備隊は、3月26日の吶喊攻撃のとき、動ける者は、すでに196名になっていたのです。

「ルーズベルトに与うる書」は、米海兵隊員の手で二人の遺体から発見されました。

従軍記者エメット・クロージャーは、発見の経緯と手紙の本文を4月4日、本国に向けて打電しました。

そして「書」は、米国内の様々なメディアで紹介され、全米で大絶賛されました。

「書」に書かれた理想は、形を変えて米国の理想となりました。

軍人にとっての勝敗は、もちろん戦いに勝つことです。

それが島の守備隊であれば、島を敵の手に渡さない、島を守りきることが軍人としての使命です。

けれど国を挙げての戦争は、国家の目的と目的がぶつかったときに、その紛争を解決するための最後の手段です。

大東亜戦争に関していえば、「優秀な白人種」が「劣勢民族である有色人種」を絶対的に支配し、蹂躙し、奪うのが当然とする価値観と、人種の平等と合い

共に繁栄することを求める理想との戦いです。

市丸中将は、自らの死を目前として、たとえ硫黄島が奪われ、我が身が土に還ったとしても、人が人として生きることの大切さをこの「書」にしたためるこ

とで、死して尚、日本の描いた壮大な理想、悠久の大義のために戦い続けようとしたのではないか。

当時の駐米英国公使であるロナルド・キャンベルは、ルーズベルトについて、英国外務省に宛てた手紙で次のように書いています。

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ルーズベルト米大統領は、優秀な白人種とアジア人との交配によって新しいアジア系民族を産み出し、立派な文明と社会をアジアに建設しようと考えている。

ただ大統領は、白人より二千年も遅れた頭がい骨をもつ日本人はこの対象から除外し、もとの四つの島に隔離して次第に衰えさせようと考えている。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

残念ながら、ルーズベルト大統領その人は、市丸中将の書簡が米本国に打電された8日後に他界しています。

けれど、市丸中将の「書」は、全米の良心を動かし、いまや人類の常識として後世に立派に生き残っています。

市丸中将の遺稿となった、その「ルーズベルトに与うる書」の全文を、口語訳、原文、でご紹介します。

市丸中将のまさに血を吐く思いで書き綴ったこの「書」は、当時の日本の心を描いた普及の名著ともいえるでしょう。

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【口語訳】ルーズベルトに与うる書

日本海軍市丸海軍少将が、フランクリン・ルーズベルト君に、この手紙を送ります。

私はいま、この硫黄島での戦いを終わらせるにあたり、一言あなたに告げたいのです。

日本がペリー提督の下田入港を機として、世界と広く国交を結ぶようになって約百年、この間、日本国の歩みとは難儀を極め、自らが望んでいるわけでもな

いのに、日清、日露、第一次世界大戦、満州事変、支那事変を経て、不幸なことに貴国と交戦するに至りました。

これについてあなたがたは、日本人は好戦的であるとか、これは黄色人種の禍いである、あるいは日本の軍閥の専断等としています。

けれどそれは、思いもかけない的外れなものといわざるをえません。

あなたは、真珠湾の不意打ちを対日戦争開戦の唯一つの宣伝材料としていますが、日本が自滅から逃れるため、このような戦争を始めるところまで追い詰め

らた事情は、あなた自身が最もよく知っているところです。

おそれ多くも日本の天皇は、皇祖皇宗建国の大詔に明らかなように、養正(正義)、重暉(明智)、積慶(仁慈)を三綱とする八紘一宇という言葉で表現さ

れる国家統治計画に基づき、地球上のあらゆる人々はその自らの分に従ってそれぞれの郷土でむつまじく暮らし、恒久的な世界平和の確立を唯一の念願とさ

れているに他なりません。 このことはかつて、

四方の海

皆はらからと 思ふ世に

など波風の 立ちさわぐらむ

という明治天皇の御製(日露戦争中御製)が、あなたの叔父であるセオドア・ルーズベルト閣下の感嘆を招いたことで、あなたもまた良く知っていることで

す。

わたしたち日本人にはいろいろな階級の人がいます。

けれどわたしたち日本人は、さまざまな職業につきながら、この天業を助けるために生きています。

わたしたち軍人もまた、干戈(かんか)をもって、この天業を広く推し進める助けをさせて頂いています。

わたしたちはいま、豊富な物量をたのみとした貴下の空軍の爆撃や、艦砲射撃のもと、外形的には圧倒されていますが、精神的には充実し、心地はますます

明朗で歓喜に溢れています。

なぜならそれは、天業を助ける信念に燃える日本国民の共通の心理だからです。

けれどその心理は、あなたやチャーチル殿には理解できないかもしれません。

わたしたちは、そんなあなた方の心の弱さを悲しく思い、一言したいのです。

あなた方のすることは、白人、とくにアングロサクソンによって世界の利益を独り占めにしようとし、有色人種をもって、その野望の前に奴隷としようとす

るものに他なりません。

そのためにあなたがたは、奸策もって有色人種を騙し、いわゆる「悪意ある善政」によって彼らから考える力を奪い、無力にしようとしてきました。

近世になって、日本があなた方の野望に抵抗して、有色人種、ことに東洋民族をして、あなた方の束縛から解放しようとすると、あなた方は日本の真意を少

しも理解しようとはせず、ひたすら日本を有害な存在であるとして、かつては友邦であったはずの日本人を野蛮人として、公然と日本人種の絶滅を口にする

ようになりました。

それは、あなたがたの神の意向に叶うものなのですか?

大東亜戦争によって、いわゆる大東亜共栄圏が成立すれば、それぞれの民族が善政を謳歌します。

あなた方がこれを破壊さえしなければ、全世界が、恒久的平和を招くことができる。

それは決して遠い未来のことではないのです。

あなた方白人はすでに充分な繁栄を遂げているではありませんか。

数百年来あなた方の搾取から逃れようとしてきた哀れな人類の希望の芽を、どうしてあなたがたは若葉のうちに摘み取ってしまおうとするのでしょうか。

ただ東洋のものを東洋に返すということに過ぎないではありませんか。

あなたはどうして、そうも貪欲で狭量なのでしょうか。

大東亜共栄圏の存在は、いささかもあなた方の存在を否定しません。

むしろ、世界平和の一翼として、世界人類の安寧幸福を保障するものなのです。

日本天皇の神意は、その外にはない。

たったそれだけのことを、あなたに理解する雅量を示してもらいたいと、わたしたちは希望しているにすぎないのです。

ひるがえって欧州の情勢をみても、相互の無理解による人類の闘争が、どれだけ悲惨なものか、痛嘆せざるを得ません。

今ここでヒトラー総統の行動についての是非を云々することは慎みますが、彼が第二次世界大戦を引き起こした原因は、一次大戦終結に際して、その開戦の

責任一切を敗戦国であるドイツ一国に被せ、極端な圧迫をするあなた方の戦後処置に対する反動であることは看過すことのできない事実です。

あなたがたが善戦してヒトラーを倒したとしても、その後、どうやってスターリンを首領とするソビエトと協調するおつもりなのですか?

およそ世界が強者の独占するものであるならば、その闘争は永遠に繰り返され、いつまでたっても世界の人類に安寧幸福の日は来ることはありません。

あなた方は今、世界制覇の野望を一応は実現しようとしています。

あなた方はきっと、得意になっていることでしょう。

けれど、あなたの先輩であるウィルソン大統領は、そういった得意の絶頂の時に失脚したのです。

願わくば、私の言外の意を汲んでいただき、その轍を踏むことがないようにしていただきたいと願います。

 

市丸海軍少将

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