好日日記 季節のように生きる
本日は二十四節気の啓蟄
春の暖かさを感じて、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくるタイミングです
二十四節気は、もともと古代中国で考案されたようで、日本の実際の季節の移ろいとズレを感じることもありますね
およそ一か月前の立春は、その最たるもののではないでしょうか
それでも、夏至、冬至、春分、秋分は、陽の長短を改めて感じる節目とも言え、時代は変われど、現代社会においても日本の生活にしっかり根付いている印象です
今回ご紹介するアイテムは、その二十四節気という季節の流れをお茶の稽古場から見つめた、珠玉の一冊です
『好日日記 季節のように生きる』 森下典子 著 PARCO出版
映画化された『日々是好日』が出色の作品で、その続編ということで、期待半分、心配半分という気持ちで読み進めていた記憶がありますが、心配の方は杞憂に終わった、そんな読後感でしたね
私的にコチラの作品の方が好きかもしれません
今回、改めて啓蟄のページに向き合っただけでも、こんなすてきなフレーズが琴線に触れることに
不思議なことに、毎年この時期、わが家の玄関を開けると、生温い水の匂いがする。
筧の先から細く流れ落ちる水音も、今日はとても柔らかく聴こえる。
その一方で、人生において大切な教えもさりげなく散りばめられています
真ん中を残すのよ
簡単に見えるものほど難しいのよ
こんな調子で、二十四倍も季節感を愉しみながら、学ぶことができる、一粒で二度美味しい作品です
美味しいといえば、二十四節気ごとに添えられているお菓子のイラストも、とても美味しそうに感じます
何故か、処暑だけ夏休みのイギリス旅行の話が手短にまとめられていて、イラストが抜けていますが、これは意図されたものなのでしょうか
この点が少しだけ残念でした
ちなみに、啓蟄のお菓子は「菜種の里」
そのイラストも著者の手によるものですので、一芸に秀でる者はという印象ですが、恋愛に関しては不器用だったようですね
もちろん、啓蟄のみならず、二十四節気を切り口に綴るエッセイは、心に沁みるフレーズでいっぱいです
花も見ず、なんのために生きる
私たちはものすごく不思議なことに囲まれ、それを不思議とも思わず暮らしている
できるならしなくてよろしい。できないから稽古するの!
梅の木が一本あるだけで、一年の暮らしが豊かになる
小さな偶然は気づけば多々起こっている
日本の季節は、「今しかない」ことに満ちていて、あっという間に過ぎ去ってゆく。だから、私たちは季節の中で、一瞬の「今」を生きる
季節の変わり目にこそ、向き合ってみたいオススメの逸品です
今回もお役に立てれば幸いです
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