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風邪見鶏

緊急事態宣言も延長の方向。

現時点で、収束が見えない、新型コロナウイルス感染症。

何をもって収束とするのか、その定義も曖昧なままですが、その人の立場によってまちまちなのかもしれません。

しかしながら、そのイメージは、ある程度、予見することができそうです。

歴史に学び、想像力を高めることで。

この事態を受け、カミュの「ペスト」が、世界的に売り上げを伸ばしたというニュースも耳にしておりますが、不条理な事態は避けられないという内容が再評価されるというのも、何だかやるせない気がします。

その「ペスト」は、70以上年前の書籍ですが、本日ご紹介するのは、新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた1年前に出版されたアイテムです。

『風邪見鶏 人類はいかに伝染病と向き合ってきたか』 三宅善信 著 集広舎

 

書縁は、facebookで楽しく交流させていただいている、ミスター修験道・金峯山寺長臈である田中利典さんがタイムラインで紹介されているのが目に留まり、感即動で手に入れておりました。

この本、スゴイです!

帯広告には、

スペイン風邪かのパンデミックから100周年を迎えた今

とありますが、「ペスト」を再評価する前に、コチラを大きく採り上げていただくべきと思わずにはいられない、今こそ読むべき逸品です。
著書の三宅善信さんは、某宗教団体で要職を務められる宗教家ですが、昨今の事情を予見されていることのみならず、その慧眼には、驚かされます。

「はじめに」では、近未来に起こり得る中国発「金融危機」が、アフリカの遊牧民までを巻き込む「百年に一度」の「世界恐慌」という人災として、世界中を呑み込んでしまうという予見から幕を開けます。

続いて、こんな警告がなされます。

この「世界恐慌」という人災は、人類社会が現在直面しているもうひとつの危機である「新型ウイルスのパンデミック」と比べたら、さざ波のようなものであると・・・

まさに、1年後の今、目の前で起こっていることですね・・・

その要因は、グローバリゼーションの進展であると説かれます。

偶然乗り合わせた人を通じて、わずか数十時間の内に高度に発達した高速交通手段によって一挙に全世界に拡散してしまうという非常に危険な世界にわれわれは暮らしているのである。

その上で、著者の三宅さんは、

このような大惨事に直面しても、人々が狼狽えることなく対処するため、人類文明にとっての伝染病の意味を説き明かすために、私は本書を著すことにした。

と、宗教家らしく、執筆に至った思いを綴られています。

そして、本文では、

・ウイルスと鳥との深い関係
・都市が人類にもたらした功罪
・「鬼と桃太郎の正体」からの考察

等、人類と伝染病との戦い、伝統的風習や文化、文明論にも言及。

そして、まさに宗教家らしく、その考察は宗教論にも切り込んでいきます。

秀逸なのは、こちらの表現。

ある人がスーパー・スプレッダー(ウイルスをバラマク張本人)になるためには、その人が行動範囲の広い人であるだけでは不十分で、そこそこ健康な人でなければだめである。なぜなら、もし、その人が病弱であったら、感染したら即、重篤に陥ったり、死んでしまったりするので、ウイルスをばら撒く暇もないからである。強力な病原菌やウイルスを保持した状態で、普通の人なら参ってしまうような状態でも、なおかつ見た目は健康で各地をウロウロとすることが、スーパー・スプレッダーの必須条件である。

そのままのことが、展開されている様相ですよね。

先程の宗教論という意味では、世界宗教についてもスーパー・スプレッダーのような人物がいたからこそ拡散したのだと、喝破されています。

そして、後半は、我々日本人に対して覚醒を促すような内容が・・・

「一寸の虫にも五分の魂」どころか「1ミクロンの細菌にも5ナノメートルの魂」

是非、今こそ、一人でも多くの方に読んでいただきたい。


風邪見鶏 人類はいかに伝染病と向き合ってきたか
風邪見鶏 人類はいかに伝染病と向き合ってきたか

今回もお役に立てれば幸いです。

ではでは。

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