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超高速!参勤交代〔著者:土橋章宏 氏〕

ふ久しぶりに、夢中になって一気に読み切った一冊です。

まず最初に、この本を薦めてくれた友人に感謝したいと思います。
(友人の紹介記事はこちら)

帯にもあるように
・お金がない
・人手がない
・時間がない
というのは、ビジネスの場でもよく聞く「言い訳」ですが、この「3無い」を、努力と工夫で乗り越える辺りは、ビジネスをされている皆さんにも読んで欲しいと思いました。

超高速! 参勤交代 (講談社文庫)

なお、ここでは僕のかなり偏った視点で感想を書くので、ちゃんと本を読んで下さいね。

さて、時代背景は八代将軍・徳川吉宗の時代。
湯長谷藩 藩主・内藤政醇(まさあつ)が、5日で参勤交代せよ!と命をうけ、それをやり遂げるという話し。この時代の物語を読むとき、僕は予算観のために、1両の価値を10万円という風に自分なりに決めている(参考:日本銀行金融研究所貨幣博物館 の資料)
当時の生活などから考えると、3つの指標があり、
・米の値段からだと、1両=約4万円
・大工の賃金だと、1両=30〜40万円
・そばの代金から、1両=12〜13万円
ということで、相場によってかなり幅があるので、計算しやすいように〔1両=10万円〕という風に考えるようにしています。さあ、湯長谷藩とは現在の”福島県いわき市常磐” で、江戸城までで、グーグルマップでルート検索すると、こうなる。

整備された現在の道路だと、徒歩で194km・40時間だそうです。
これを当時は、大名行列をつくり各宿に宿泊しながら、急いで言っても8日間かかる道程を、正味4日間で来いっ!と言われたワケです。

ちなみに、小藩・湯長谷藩の石高は1万5千石。
1石=1両で計算すると、年間予算15億円。
物語の中で、加賀百万石(1000億?)の参勤交代の費用を3000両(3億円)と書かれています。

(参勤交代とは、定期的に江戸に出仕させ藩の財政に負担をかけることで、幕府への氾濫を圧させさせる目的で実施されていた。)

で、この物語の殿には、優秀な番頭(家老)がいて「金はないが、お主には知恵があるだろう」と言われ、計画を立てる。殿は番頭の案を承認する。

番頭はあらゆるムダを排し、必要最低限の予算と人員で参勤交代を成功させるために、優秀な外部コンサルタント(忍者)を雇い、大名行列をやってるフリをするために、エキストラを使う。
予算は140両(1400万円)。
そのうち10両を忍者に払う。このプロジェクトのキーマンに相応の金額だろうか?
さきほど書いたが、大工の賃金から考えた場合、米やソバよりかなり高かったのは、当時は労働対価が現在よりも評価されない時代だったと言える。
そう考えれば大工の10ヶ月分の対価なので、それなりの支払いなのかな。
やはりどんなプロジェクトも「人選」こそが大事だということがわかる。
あと、僕がもう一つ注目したのは、この無理な参勤交代を企てた、幕府の老中である。もちろん立場を利用して私腹を肥やす悪者である。
が、隠密(スパイ)を活用し、諸藩の弱みをつかみ、ある意味で巧みに情報を制して利益を得ている頭のいい人だと言える。最後は、ガセネタを掴んで身を滅ぼす。
情報の大切さ。
とりわけ「情報ソースの信頼性」について、改めて教えられた。

そして何よりも、藩主・内藤政醇のリーダーとしての人柄が泣けます。ぜひ、映画も観たいと思いました。(映画では、お咲を演じている深田恭子が楽しみです・・・汗)

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