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新訳 歎異抄―わかりやすい現代語訳

 

ども。出版プロデューサーの田中克成です。

 

僕のリーダーシップ論の思想をつくり、人としての生き方のベースとなった本に『歎異抄』との出会いがありました。

 

『歎異抄』はご存知ない方も多いと思います。「たんにしょう」と読みます。

 

この本は、600年前に書かれた仏教書で、浄土真宗の開祖、親鸞聖人(しんらんしょうにん)のお弟子さんである唯円さんが書いたのではないか、と言われている数十ページの回想録です。

 

精神科医で人気作家でもあった故・斎藤茂太先生(通称:モタ先生)の著書に、『親鸞の「他力」に学ぶ ラクになる生き方』という本があります。その本の中で「かの文豪夏目漱石が、日本には世界に誇る名著が3つある、と言い、一つは、宮本武蔵の『五輪書』、二つ目が新渡戸稲造の『武士道』、そして三つ目が親鸞の教えを弟子の唯円が回顧した『歎異抄』である、、、云々」

 

みたいなことが書かれてあり、その三冊を買って一気読みする中で、最もチンプンカンプンで、何をもって日本が世界に誇る三大名著の一つに入った意味が分からないのが『歎異抄』でした。

 

 

チンプンカンプンだったのですが、あの夏目漱石が「日本が世界に誇る三大名著」に挙げていることや、そもそも歎異鈔の存在を知ったモタ先生の文中での親鸞聖人の生き方、考え方にはリスペクトしてたので、初心者向けの『歎異抄』をいろいろ探している中で巡り合ったのが、冒頭に紹介している『新訳 歎異抄―わかりやすい現代語訳』(松本志郎 著 / 中央公論事業出版)でした。

 

この本がまた神がかってると言いますか、著者の松本志郎さんは大正生まれの中学校の先生で、昭和55年に62歳で結核を患って亡くなられたんですが、志郎さんが執筆した『新訳 歎異抄ーわかりやすい現代語訳』が世に出たのは、亡くなられてから28年後の2008年なんです。

 

著者の志郎さんは、結核で隔離されたご自宅の病床で本書の原稿を書き上げたのですが、特段「出版して世に発表する」とかそういうことではなく、しかも、仏教徒というわけでもなく、ただただ30年以上に亘って連れ添った結核の苦しさから楽にしてくれた『歎異抄』の教えを、宗教書としてではなく、「生き方の教え」として捉え直した解説を、自身の人生の決算書として書き遺し、書き上げた原稿は押入れの奥隅に保管したまま誰にも知らせることなく亡くなったのだそうです。

 

それから二十数年後、志郎さんのお孫さんたちが押入れを整理していると、本書の原稿が出てきて、仏教書としてしか知られていなかった『歎異抄』をまったく新しい視点で問い直したお爺ちゃんの原稿を本にするべき。…ということで、2008年に中央公論事業出版から出版されたということでした。

 

ヤバくない?・・・

 

 

僕は嘗てから、「本は大切な人に宛てた手紙の延長線上にある読み物」ということを声を大にして言ってるんでありますが、手紙の究極は「遺書」でして、まさに、松本志郎さんの『新訳 歎異抄ーわかりやすい現代語訳』は、僕が理想としている「遺書」としてのストーリーもあったわけです。

 

肝心の中身はどうだったのか?というと、これがもう「鳥肌モノ」でありました。

 

宗教者が書いた『歎異抄』の現代語訳を読んだときはチンプンカンプンだったのですが、松本志郎さんは歎異抄の現代語訳に入る前に、親鸞聖人が生きた時代背景や、当時の仏教の背景、なぜ当時は新興宗教に過ぎなかった親鸞聖人の教えが大衆に支持され日本の仏教宗派で最大規模になったのか、親鸞聖人亡きあとの浄土真宗の背景、そして、なぜ親鸞聖人生前の直弟子であった唯円さんが『歎異抄』を書くに至ったのか。

 

そんなバックボーンから解説してくれ、その上で、『歎異抄』本文の現代語訳へと入っていくのですが、そうやって時代背景や諸々を理解して読むと、文脈の一つひとつの意味がスコーーーーーン!!と腹落ちしてくるわけです。

 

 

僕は今でこそ、親鸞聖人のパンクロックな生き方の大ファンなんですが、当時は、親鸞聖人どころか仏教、、どころか、宗教、、、どころか、精神世界とかスピリチュアルにさえアンチ派だったのですが、本書は、知られざる歴史書的な感じでスーッと読了。

 

その間、鳥肌立ちっぱなし。

 

ヤバいんですよ。『歎異抄』は、晩年の親鸞聖人が、若い弟子の唯円の質問に答えるというQ&A方式で、書かれているのですが、中でも有名な「悪人正機(あくにんしょうき)」の教えをはじめ、その思想やら、スケール感やら、住職(リーダー)たる者の在り方論とか、一貫してブレない弱者救済のスタンスとか、それまで僕が抱えていた諸々の疑問や悩みや自己嫌悪が「ザッバ〜〜〜ン!」と浄化の大波で洗い流された気分でした。

 

僕はいつの日か、『歎異抄』を「リーダーシップ」をコンセプトにした超訳本として出版したいと願望しております。

 

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