ダウン・ザ・フェアウェイ
つい先日のこと、松山英樹選手がマスターズを制しました
日本人初、アジア人初のマスターズ・チャンピオン
感動も一入といった表現が相応しい偉業でしたね
そのマスターズ・トーナメントを創設したのは球聖ボビー・ジョーンズということは知っていても、彼の著書を読んだという方は少数派かもしれません
『ダウン・ザ・フェアウェイ』 ボビー・ジョーンズ、オー・ビー・キーラー著 菊谷匡祐訳 スタジオ・シップ
今回久しぶりに手に採って、今年は球聖の没後50年の節目ということを改めて知りました
その手元にあるアイテムは、奥付を確認すると初版が1991年ですから、ちょうど30年前に手に入れていたようですね
1991年といえば、自身80台が出始めた頃だったような記憶があります
毎日アパートでパターの練習やウェッジでリフティングをしてみたり、街を歩くときは歩測を欠かさない等、プライベートはゴルフ中心の生活だったことを想い出しました
さて、本書は球聖が25歳の時に出版されました
25歳で自叙伝というのも、相当なものですが、その内容は大変含蓄に富むものです
当時、全英アマチュア選手権こそ優勝はありませんでしたが、その3年後の1930年、28歳の時に年間グランドスラムを達成します
そして、その年に競技ゴルフから引退を表明
その4年後には、第一回マスターズ・トーナメントを主催しています
幼少期からの自叙伝というスタイルですが、競技ゴルフを通じて体験した数々の敗北から学ぶことで、ゴルファーとして成長していく自身の姿が描かれています
本書の冒頭で、球聖自ら、
やっと25歳になったばかりで、決して回想録を書くほどの年でない
と謙虚に語っていますが、深みのある言葉が満載です
思うに、ゴルフには二種類・・・ゴルフとトーナメント・ゴルフがあって、このふたつは決して同じではない
ゴルフは、誰かに対してプレーするものではなく、何かに対してするものであるということに気づかなかったら、わたしはメジャー選手権に勝つことなどなかったろう。何かというのはパーのことだが・・・・・・
いかなる敵より手強い相手・・・オールドマン・パーである
わたしが気がついたことといえば、長い間には、結局、運はどちらにも味方しないということだった
そして翻訳を担当された菊谷匡祐さんが、こんなフレーズで、本書を締めくくられています
いま、これを軽装本にして再版する。ゴルファーにとってのバイブルともいわれる本書が、読みたいという人にいつでも読んでもらえなければ、とうていゴルフ大国などとはいえないと思うからである。ボビー・ジョーンズは空前にしておそらく絶後ともいえる名手だったが、彼が教えてくれるのは、決してゴルフに上達する方法論ではない。いいゴルファーになる道である。
昨今、ゴルフをする人の数だけは夥しく増加した。が、ゴルファーは減っている・・・という嘆きもよく聞かれるのである。本書によって日本にいいゴルファーが少しでも増えたらと、心から願っている。
松山英樹選手が日本人初のマスターズ・チャンピオンになった今こそ、一人でも多くの日本人ゴルファーに読んでいただきたい不朽の名著ですね
今回もお役に立てれば幸いです
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