『茶の本』・・・100回目の節目に考えた
足掛け5年
2020年8月から執筆を担当してきた『蔵書家の視点』も今回の投稿で私的に100回目を数えます
継続は力なり
とは言い過ぎですが、我ながら感慨深いものがありますね
ひとつの投稿で複数冊投稿している場合も少なくないので(今回も沢山ですね)、ご紹介した書籍は数百冊にわたるというのは少し大げさかもしれませんが、何冊かはコチラの訪問者に読み継がれたことと存じます
そして、今回節目の100回目の投稿に選んでみたのはコチラの不朽の名著です
『茶の本・The Book of Tea』 岡倉天心 著
私事ですが、毎朝の実践読書術でも何度か題材に採り上げている作品です
書縁は、実はTV番組
2015年1月に放送された『100分de名著』のテキスト本が最初でした
番組の内容とテキスト本に導かれ、程なくして手に採ったのが、指南役を務めていた東京女子大学教授(当時)・大久保喬樹先生の翻訳による角川ソフィア文庫
『NHK「100分de名著」ブックス 岡倉天心 茶の本』 大久保喬樹 著 NHK出版
『新訳 茶の本』 岡倉天心 著 大久保喬樹 訳 角川ソフィア文庫
文庫本の表紙に新訳とある通り、『茶の本』はもともと英文で書かれています
『茶の本』と同時代に日本人の手によって書かれた英文作品では、『武士道』新渡戸稲造 著、『代表的日本人』内村鑑三 著が、三大名著として並び称されていますね
三大名著といえば、岡倉天心自身、同時期に『東洋の理想』、『日本の覚醒』、そして『茶の本』と英文3部作を著しています
その『茶の本』への想いが再熱したのは、今年の4月のこと
私事ですが、代表幹事を務めていた中部経営塾の生みの親である水戸の師匠に、中部経営塾10周年のお礼参りを兼ね、幹事有志と水戸まで訪ねていました
懇親会を終えた翌日、せっかく茨城県に足を運んでいるので、岡倉天心ゆかりの地である茨城県の北端・五浦へ足を延ばそうと企画し、盟友・愚か者本部長を連れだって、赴いていました
※珍道中は本部長殿のブログからお楽しみください
https://www.meidaisha.co.jp/president/?p=22337
そのお目当ては、六角堂(茨城大学五浦美術文化研究所)と茨城県天心記念五浦美術館
※ブログを再読すると単なる呑み旅ですね・・・大汗
想い焦がれていた聖地に足を踏み入れることができ、とても感慨深いものがありましたね
その美術館のミュージアムショップで手に入れていたのが、
『岡倉天心「茶の本」をよむ』 田中仙堂 著 講談社学術文庫
程なくして、
『岡倉天心『茶の本』を読む』 若松英輔 著 岩波現代文庫
最近になって、
『岡倉天心「茶の本」をよむ』 山﨑武也 著 PHP文庫
をそれぞれ手に入れていました
ちなみに、出版の古い順番で、山﨑本 ⇒ 若松本 ⇒ 田中本 です
そして、図書館で見かけ、これは手元に置かねばと思いポチっていたのが、冒頭のコチラの作品
『茶の本 岡倉天心』 岡倉覚三 著 村岡博 訳 大川裕弘 写真 パイインターナショナル
コチラのビジュアル本の翻訳は、岩波文庫と同じもので、その岩波文庫の初版は1929年ですから、かなり古いものと想われます
岡倉覚三が本名で、岡倉天心は本人が用いていた号ですが、生前は岡倉覚三と呼ばれていたことが常だったようですね
今回、面白半分で、心に刺さったフレーズを4種の翻訳(村岡、大久保、山﨑、田中)で比較してみました
いやいや、驚くほどテイストが異なるものですね
同じ英文、しかも日本人が書いた英文が、翻訳者によってこうも表現が変わるものかと、思い知らされました
『茶の本』に限らず、現在でも毎日のように数多くの翻訳本が刊行されています
今回、翻訳者の力量ならびに恣意で、ずいぶん違った情報が届けられるのだと、実感することができました
そんな気づきから、そういえば、英文(原文)が手元にないことに気づき、大急ぎでコチラを調達
『茶の本 【英文収録】』 岡倉天心 著 桶谷秀昭 訳 講談社学術文庫
これで5名の翻訳が手に入ったわけですが、実はまだまだ他の翻訳が沢山あるようです
そんな中、今回オススメするのは、やはり書縁を重んじて、大久保喬樹さんの角川ソフィア文庫でしょうか
また、翻訳の質はさておき、手元において欲しいのは、パイ インターナショナルのビジュアル本ですね
今回紹介した他のアイテムは下記からどうぞ
岡倉天心『茶の本』 2015年1月 (100分 de 名著)
岡倉天心「茶の本」をよむ (講談社学術文庫)
岡倉天心『茶の本』を読む (岩波現代文庫)
岡倉天心『茶の本』を読む 日本人の心と知恵 (PHP文庫)
英文収録 茶の本 (講談社学術文庫)
想い入れたっぷりで、100回目の節目に『茶の本』を紹介していましたが、実は少し想うところがあり、
今回を持ってコチラのスタイルでの『蔵書家の視点』の執筆を終えてみたい
と想います
まだまだ紹介しきれていない書籍が山ほどあるのですが・・・
三浦綾子さんの『塩狩峠』は、小生には珍しく小説でもあり、是非とも紹介したいと想っていました・・・今年生誕100周年でしたし
そんな中、サイトオーナーの許可もいただいた上で、新スタイルで何か定期的にアウトプットできればとも想っています
私事ばかりで恐縮ですが、経営する会社も10月から新事業年度に突入
装いも新たに、より愉しみながら、皆さんのお役に立てれば幸いです
足掛け5年、全100回、本当にお世話になりました
またね!
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