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さて、リスクをとりに行くか!

2019年1月に、経営塾「川原塾」を創塾してから、3年が経ちました。

正直、塾長としてプレッシャーの日々が続いています。自分の成功ってこんなに簡単なのに、どうして塾生の成功ってこんなに大変なんでしょうね・・・汗

そんなプレッシャーもあり、創塾当時の塾生の事業規模やステージなども考慮しつつ、そして創塾から1年後に未曾有のパンデミックもあったことで、ついつい「失敗しない経営」に偏ったカリキュラムとサポートをして参りました。

塾生の中には、川原流の経営の基本が身につき、筋肉質な黒字体質の塾生も増えてきました。頼もしい限りです。

そろそろ、正しくリスクをとりに行っても良いかな?って思うんです。

そこで今日は、川原といえば「マーケットイン」と、どの塾生も思っていると思いますが、やっぱり事業の醍醐味である「プロダクトアウト」について、考えを書いてみました。

 

プロダクトアウトとは

作り手(売り手)が良いと思ったものを作り、提供販売していく方針のことです。

「良いモノだから売れる」という発想が根幹に見える考え方です。

基本的には、顧客や市場のニーズよりも製品スペックなどを重視するものになります。

 

逆にマーケットインは、作り手が作りたいものや製品のスペックなどよりも市場や顧客のニーズを重視し、よりニーズのあるものを作っていこうとする方針です。

プロダクトアウトが「良いモノだから売れる」という考えなのに対し、マーケットインは「売れるモノを作る」という発想と捉えても良いでしょう。

 

マーケティングは「自社の商品やサービスが売り込まずに売れる仕組みを作ること」です。

マーケットインの方がプロダクトアウトよりもマーケティングの考えの方に近いと思われがちです。

 

僕も小規模・零細事業者と、経営基盤が未成熟で財務面で不安定な事業者には、基本的にマーケットインの方針に徹して頂きます。

しかし一概にどちらが優れていて、どちらが間違っていると断定するのは、ナンセンスです。

どちらが良いかを考える前にプロダクトアウトとマーケットインそれぞれの利点と弱点を整理しておきましょう。

プロダクトアウト

一見すると作りたいものを作っているだけのように見えるプロダクトアウトですが、マーケットインにはない良さがあることも事実。

 

プロダクトアウトの利点

⑴企業の強みを最大限に活かしたモノづくり

プロダクトアウトは、作り手(売り手)が良いと思うものや作りたいものを作ってから売る。となる考え方です。

作り手が作りたいものなので、持っている技術力などの強みを活かしたものになります。

「作りたいものを作る」と聞くと、マーケティング的発想を放棄しているように思えるかもしれませんが、作りたいものを追及するからこそ、他者が真似できない製品が生まれる可能性がある。

競合他社との競争に勝つためには、差別化は必須です。作りたいものにとことんこだわるプロダクトアウトは、実は結果的にはマーケティングとして理にかなっているとも言えます。

差別化ができれば、ブランド力アップにもつながる。

⑵今までに世になかった製品ができる可能性

プロダクトアウトを突き詰めることでしか、たどり着けない境地がある。まったく新しい製品というのは顧客の声から生まれることはない。プロダクトアウトならではのメリットだと言える。

もちろん、今までになかったからヒットするというほど甘いものではありません。

しかし、iPhoneを生み出したアップル社や、ウォークマンを作ったSONYが、プロダクトアウトだったのは間違いない。

世にない商品を生み出すことは、大ヒットの可能性を秘めている。

⑶コストが抑えられる

プロダクトアウトでは、既に企業が持っている強みを活かして製品作りを開発する。そのため、製品作りのために新しい部門を設けなくて良い。

時間と費用のコストが抑えられるので、集中したいところにコストがかけられる。

プロダクトアウトの弱点

⑴市場や顧客のニーズに合わない可能性が高い

強みを追及して製品作りを行うプロダクトアウトでは、市場のニーズは考慮しない。そのため出来上がったモノが、市場のニーズに合わず全く売れない可能性は高くなる。

⑵製品の見直しにコストがかかる

市場ニーズを考慮せずにもの作りを行うため、製品が売れなかった場合の原因分析が困難。

マーケットイン

市場ニーズをもとに製品(コンテンツ)作りを行うマーケットインは、一見弱点がないように思われるかもしれません。しかし、弱点もあります。

 

マーケットインのメリット

⑴顧客が求めているものが提供できる

マーケットインでは、あらかじめターゲットとする市場や顧客のニーズを調査・分析した上で商品開発を行う。

そのため作ったモノがそのまま顧客が求めているものになりやすいというメリットがあります。顧客からすれば自分が欲しかったものをピンポイントで作ってくれるので、会社への期待度や信頼度が高まり、自然と商品や会社のファンになる流れが生まれます。

⑵売上の予測がしやすい

マーケットインは市場のニーズを把握し、それを満たす製品をリリースします。ニーズを捉えたモノを作るので、売上の予測が立てやすいという利点がある。

新商品の開発となれば必然的に大きなコストがかかります。ある程度の売上予測が立てられる利点は大きい。

 

⑶どんなものを開発すればよいかの目標設定がしやすい

マーケットインでは市場や顧客が求めているものを作るという姿勢で製品開発が行われます。市場のニーズ分析を終えた段階で、どのようなものが求められているかが分かるので、製品開発までの具体的なスケジュール計画や、作るべき製品の詳細なスペックが設定しやすくなります。  

マーケットインの弱点

⑴大ヒットが生まれにくい

ニーズを調査・分析して商品を生み出すマーケットインでも、売れないこともあります。

それはどんなに分析するコストをかけても変わりません。特に大ヒットは期待できないと言えます。

今までなかったような斬新な製品にはなりにくいので、一定以上のヒットが難しいのも事実です。

 

⑵他社と似た製品が生まれやすい

市場のニーズ調査や分析をした上で製品を開発しているのは、もちろん自社だけではない。

そのため同業者間では、似た製品が生まれる可能性が十分にあります。また、マーケットインでは、自社の技術力にこだわってモノ作りをするわけではないので、仮に自社が先に作ったものでもすぐに他社が真似することや、真似をした上で改良を加えたものを作ることが比較的容易になります。

⑶企業ブランディングにブレが生まれやすい

マーケットインで最重要視されるのは、市場と顧客のニーズです。そのため、自社が作る製品に軸がなく、固定ファンがつきにくくなる恐れがあります。

 

 

僕は、日常的には「マーケットイン」の感覚を研ぎ澄ますように、社員や塾生には「4つの不のワーク」「顧客リストに目を通す」「わらしべ読書」を推奨(あれ?強制)しています。

マーケットインは、そうしよう!と思ってやるものではなく、そうすることが自然で当たり前な状態、すなわち「習慣」になっていることが大事だと考えるからです。

 

そして事業が小さいうち、または不安定な時期は、打率の高いマーケットインが大事だからです。

しかし、マーケットインだけでは、起業の本来の魅力は損なわれます。

やっぱり事業を営むロマンは、一発ホームラン・長打の狙える「プロダクトアウト」にあります。日常的にマーケットインの感覚を習慣化し、その習慣を活かして、プロダクトアウトに挑戦する。

この挑戦には、当然「リスク」が伴います。

しかし、川原塾で経営の基本を身につけ、失敗しない経営の原則を心得た上で「正しくリスクをとる」ことが、事業をさらに次のステージに引き上げます。

現代は、作れば作るだけ売れるという時代でも、良いモノであれば売れるという時代でもない。

ややもすると技術力にこだわるプロダクトアウトは時代遅れで、マーケットインが必要という意見もある。

 

日本はバブルの教訓後しばらくの間「失敗しない」ことを良しとしてきました。僕自身も失敗しない経営を目指して参りました。

しかし、それだけでは衰退します。

そろそろ、リスクをとりに行ってみようと思います。若かったあの頃のように。

 

【独り言:商品開発の勉強会でも企画しようかな・・・】

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