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はじめての営業(2)

前回のつづき

絵に描いたような「1ヶ月間ゼロ契約」。
もし契約がとれたら自分で配達することになるため、営業できるエリアはかなり限定されている。放課後、夜のアルバイトまでの1〜2時間を使い、最初の1ヶ月間で地図に載っている400軒全部を訪問したが、1軒も契約にならない・・・。それどころか、断りきれなくてタダで渡してしまった景品分がアルバイト代から差し引かれている。

話しは逸れるが、この彼、朝は4時半から折込チラシの折込作業を行い、7時半まで配達。それから学校に行き、15時半頃に下校し集金業務や新規営業。19〜22時まで飲食店の厨房でアルバイトという生活だった。

元々、何の期待もされていなかったので、新聞店の店主はひと通り訪問してダメだったら諦めると思っていたらしいが、2ヶ月目、またリストの最初から再訪問をはじめる。

と、言っても、先月と同じことの繰り返しではさすがに芸がない。
彼も最初の2週間はただひたすら訪問していたが、後半の2週間はこのままではダメなことは薄々感じていた。だがまずは任されたエリアを全部回ることにしていた。

で、2ヶ月目。

1ヶ月目、彼は新規契約を獲得するために、今、契約のない家だけを訪問していた。

ようするに、契約を頂いているお客様は配達と集金しかしていないということに気がついた。しかも営業活動中、お客様と路上で顔を合わせてもロクに挨拶もしていないと思った。

そこで彼は、まず挨拶をすることからはじめた。
1ヶ月かけてエリア内の全ての家庭を訪問しているので、すれ違う人の顔はなんとなくだが覚えていた。朝の配達時は「おはようございます!」、夕方の営業時には「こんにちは!」と、挨拶をする。

それと朝刊の配達時に、お客様以外の家の郵便受けからハミ出している新聞をチェックし、どの新聞をとっているのか?または新聞をとっていないなどが気になるようになってきた。

ある日の夕方、お客様の中でも、とくに気さくなおばちゃんとちょっと立ち話しをした。

「今度、あそこのアパートの2階に、新しい人が引っ越して来るらしいよ」と、おばちゃんは教えてくれた。貴重な情報だった。嬉しかったので、ついついおばちゃんに景品の洗濯洗剤を渡した。そしたらおばちゃんは大喜びで「引っ越して来たら、おばちゃんが言っといたるわ」って言ってくれた。

なんだか、全身に電撃が走ったような衝撃だった。

俺、間違ってた。

景品の使い方を間違っていたのだ。
それまで景品は「これあげるから、3ヶ月無料で新聞とってください」と、お願いするための武器だと思い込んでいた。そうではなく、今のお客様ともっと仲良くなるために使うんだということに気がついた。

人見知りでシャイな自分が、ちょっとでもお客さんと放しやすくするために、この景品はあるんだとわかってからは、毎日の集金業務のついでに、お客様に景品を渡しながら、お客様とちょっとでも会話をするようにした。もちろん、そういうことを嫌うお客様もいる。それはそれで「このお客様は、会話は嫌いなんだ」ということを、リストにメモした。

新規の獲得以前に、お客様のことを知ることをはじめた。

それから1週間くらいだった。

道で会ったあの気さくなおばちゃんが「あ〜、ちょっと待ってて」と言って、アパートに走って行ったと思ったら、新しく引っ越してきた奥さんを連れて戻ってきた。「明日から新聞、配達してあげて!」と言う。彼は一瞬、何が起こっているのか分からなかった・・・。

新規営業をはじめてから1ヶ月半、ようやく1軒目の契約が頂けたのだった。
営業マンとしてはじめての契約だった。

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【彼がやったこと】
・ご近所さんに挨拶
・既存顧客との会話
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