『弄花香満衣』花を手にすれば、その香りが衣に満ちあふれる。
茶室の掛け軸は、その日のテーマを表しています。
冬には冬の、春には春の時候にふさわしい墨蹟(ぼくせき)がよくかかります。
今日は、掛け軸に見られる墨蹟の1つをご紹介しますね。
※墨蹟:ぼくせき。墨で書かれている文字のこと。
『弄花香満衣』
「はなをろうすれば、か えにみつ」
「花を手にすれば、その香りが衣(ころも)に満ちあふれる」と読みます。
この言葉を読んで、あなたはどんな景色が思い浮かびましたか?
茶室にこの掛け軸がかかると、一気に春がもうそこまで来ているようで、温かな風が待ち遠しくなります。
実際は香りの強い花は、茶室で使われることはないのですが、だからこそ花やその香りへの想像がふくらみ、いっそう春の息吹を感じますね。
「衣に満ちあふれる香り」は影も形もなくて、想像上のもの。
心に宿っている、人それぞれの春を感じる香りなのでしょう。
昔の人は風流ですよね。
その風情と心を受け継いでいるのが、茶道です。
雪深い1月もやがて終わり、春のおとずれですね。
「花を手にすれば、その香りが衣(ころも)に満ちあふれる」
春はもう、すぐそこまで来ています♪
※参考図書:主婦の友社 必携 禅語便利帳
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